雪と断罪とそして、紅
今、彼女が考えているのは数日前に産まれた男女の双子の赤ちゃんの名前。
身寄りのない母親は双子を産んで命を落とした為、双子には身内がいない。
いたとしても、引き取りたがらないだろう。
何せ、双子の父親は連続殺人鬼である切碕ヒカリなのだから。
切碕ヒカリは彼女にとって憎い相手だ。
婚約者である俺の兄を殺し、好きになってしまった俺の親友を死に追いやったからだ。
最初、彼女はその双子に対面したとき、双子を殺そうとした。
でも、天河が自分が死んでも守りたかった命だと知ると殺すことを止め、名付け親になりたいと言った。
「もう少し気楽に考えてみたら良いんじゃないですか?親から一文字取るとか」
「んー」
アリスさんは頭を捻ると、改めて真っ白な紙と向き合った。
俺はそんな彼女の隣に座ると、じーっと見つめる。
視線に気付いた彼女はこっちを見る。