雪と断罪とそして、紅

それから一週間後。




「一体どういうことですか、アリス様!」





俺はアリスさんに付き添って藤邦の研究所に来ると、研究員の一人が血相をかいて彼女に詰め寄った。





「それ以上アリスに近付くな」





でも、彼女の護衛である羽取さんがその研究員の首にクナイを当てて、動きを止める。





「才暉」





アリスさんに名前を呼ばれ、羽取さんはクナイをクルリと回すと静かに後ろに下がる。





「私に何の用?」





「アリス様、人体実験を中止するとはどういうことですか?」





人体実験を中止する?





研究員の言葉に俺は眉にシワを寄せる。






人体実験……作られた人間を生み出す実験は国と三名家の下で秘密裏に行われていたことだったが、半年前に切碕の仲間によって公にされている。





それが原因でデモ行進が行われ、三名家を非難する声は無いものの内閣支持率は過去最低だった。





そして、その人体実験の最高責任者は藤邦の当主で、つい最近まで三月さんが就いていた。





でも、三月さんが病に倒れ、余命僅かと診断されて当主の座はアリスさんへと移された。









< 142 / 210 >

この作品をシェア

pagetop