雪と断罪とそして、紅


「アリス……──だ……」




ふと、才暉はアリスの名前と何かを呟いたかと思うと眠ってしまった。





僕はチェシャをもう一度撫でると才暉の寝室からタオルケットを持ってくる。





離れたのは少しの間だったのにチェシャは飼い主である才暉に寄り添い、丸くなって寝ていた。





頬が緩むのを感じながら一人と一匹にタオルケットをかけると、さっきいた場所に座ってウイスキーの入ったグラスを手に取る。





そして、ぐっすり眠っている才暉の頬を指先でツン……と軽く押した。





「好きなら素直に伝えれば良かったのに……」





さっき、才暉が言った言葉。





それはアリスに対する想いだった。





『アリス……好きだ……』




アリスには伝えられなかった想いだった。






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