雪と断罪とそして、紅
才暉はアリスを大切にしていた。
がさつで口が悪いからそうは感じないかもしれないけど、本当に大切にしていた。
和真や朱鷺、小鳥遊君が死んだとき、アリスの傍にいたのは才暉が一番だった。
朱鷺が死んでアリスの護衛役がいなくなってから自ら名乗り出てもいた。
でも、才暉とアリスが結ばれることはない。
主と飼い犬……。
その関係はあくまでも主従関係。
跡取りと罪人を裁く人間。
あまりにも住む世界が違いすぎる。
「伝えたかったくせに、簡単に身を引いて……。まだ未練タラタラなのに」
僕は呆れながらも才暉らしいと苦笑を漏らす。
すると、ドアがノックされる音がした。