雪と断罪とそして、紅
部屋の主である才暉が爆睡しているからドアを開けに向かう。
鍵を外してドアを開ければ、そこには侑吏がコンビニの袋片手に立っていた。
「遅かったね、侑吏。才暉はもう落ちちゃったよ」
「来る前にアリスさんに捕まって……。あ、これ、アリスさんからチェシャに」
そう言って侑吏がコンビニの袋を差し出してきた。
袋の中には猫が喜んで食べて、食べる姿が可愛いと巷で有名な猫用のおやつが入っていた。
「チェシャも寝ちゃったんだよねー。まあ、とりあえず入りなよ」
「お邪魔します」
侑吏を部屋に招き入れて、ソファーに座らせると僕は冷蔵庫を開けた。
「侑吏、何飲む?缶チューハイにビール、ウイスキーに日本酒、ワインとかあるけど」
「え、お酒だけ?」
「あ、烏龍茶とかもあるよ」
「じゃあ、烏龍茶で」
何だ、飲まないのか。
飲み相手を見つけたと思ったが、侑吏は明日も仕事のため飲む気は無いらしい。
僕は烏龍茶のボトルとグラスを持つと侑吏に注いで渡した。
そして、ソファーに寄り掛かるようにして床に座った。