雪と断罪とそして、紅


「才暉さん、落ちるの早くない?」





侑吏は烏龍茶を飲むと、完全寝ている才暉の頬をつつく。





「いつものことだよ。いつものごとく、アリスに告白して落ちた」





「……相変わらずだね」






苦笑いを浮かべる侑吏に、僕は「だよね」と相づちを打つ。





──にゃー。





すると、才暉にかけたタオルケットからモゾモゾとチェシャが出て来て、一鳴きする。






「チェシャ、起きたの?おやつ食べる?」





侑吏は僕がソファーに置いたコンビニの袋からおやつを取り出すと、チェシャの目の前に見せる。





猫が喜んで食べるというだけあって、そのおやつの袋にチェシャは嬉しそうに飛び付いて、ペロペロと舐めた。





「チェシャ……か……。才暉さん、余程アリスさんが好きなんだね」





侑吏はポツリと呟いた。





チェシャから連想されるものは不思議の国のアリス。






不思議の国のアリスのアリスから取られた才暉の想い人の名前。






……アリスって付けなかっただけましかな、うん。







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