雪と断罪とそして、紅


むすっとした僕に、侑吏はしまったと言うような顔をする。





でも、僕が知らないと知ると教えてくれた。





「いやね、才暉さんと仕事が一緒になったときその話をしたんだけどさ……」





「で?」





「才暉さん、泣いたんだよね」





才暉が泣いた……?





才暉とはかれこれ何十年の付き合いだけど、才暉が泣いたところを見たことはほとんどない。





もしかしたら、初めて才暉の泣き顔を見たのは周さんの葬儀だったかもしれない。





でも、それより前に泣いていたとは……。





「それで……?」





「才暉さん、『愛した人の人生で一番幸せな時を見に来たのか……。アイツらも隣にいるのが自分じゃないことを悔やんでたりすんのかな……』って言ってた」





侑吏の少し悲しげな声に、僕は何も言えなかった。




「でも、その後に『まあ、アイツが幸せならアイツらもそんな事思わねぇか』って笑ってたんだ」





才暉、君って奴は……。





「うぅ……、頭いてぇ……」




すると、才暉は軽く呻くとのっそりとテーブルから体を起こした。






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