雪と断罪とそして、紅
「紅斗、何か知ってるの?」
「あー、いたたた!目が痛い!」
紅斗はわざとらしく、治って眼帯を常に着けている左目を押さえて痛がる。
そして、いなくなろうとするものだから私はそんな紅斗の腕を掴む。
「逃げるな!」
「お、お兄ちゃんはト、トイレに行くんだから離して!」
「さっき行ったばかりだよね、紅斗君」
「余計なこと言わないで、江君!」
私の向かいにいる小鳥遊君は楽しそうに私達のやり取りを見ながら、ちょっかいをかけてくる。
「紅斗、何か知ってるなら白状──」
「いい加減言ってやったらどうだ、紅斗?」
すると、知らん顔を突き通していた寿永隊長が書類を見ながら紅斗を諭すように言った。