雪と断罪とそして、紅
「凌君!?」
「言ってやらないといつまでも引っ付いてるぞ、そいつは。というより、うるさいからさっさと話せ。隊長命令だ」
隊長命令だと言われ、紅斗は渋々椅子に座り直し、椅子をクルリと回して私の方を見た。
「ごめん、紅緒。その手紙、僕が書いて琉介に出して貰ったんだ。紅緒が浅井秀人からの手紙だって喜んでたの知ってるからなかなか言い出せなくて……本当にごめん」
紅斗は申し訳無さそうに頭を下げくる。
あの手紙、お父さんじゃなくて紅斗が書いたんだ……。
「なーんだ、そうだったんだ」
あの手紙がお父さんからのモノじゃないと聞いて納得してしまった自分がいた。
私の反応が意外だったのか、紅斗と小鳥遊君は目を点にする。
「紅緒、怒ってないの?」
「んー、ショックではあったけど、何となくそんな気がしてた」
お父さんの本当の姿──安倍明晴は切碕の娘としてしか私を見ていなかった。
そんな人が書いた文とは思えないくらい優しかった。
だから、本当のことが分かって嬉しかった。