雪と断罪とそして、紅
アイツと……黒代(クロヨ)と出逢ったのはまだ俺が名前を≪黛≫と変える前。
忘れもしない喧嘩に負けて、気を失った春の日だ──。
「神代慎哉!」
突然後ろから名前を呼ばれて振り向けば、そこにはいかにも柄の悪い男達がいた。
まあ、ピアスをたくさんつけて、高校の制服を着崩した俺が柄が悪いっていうのは変な気もするがな。
「誰だ、てめぇ」
「俺の顔を忘れたのか!?」
柄の悪い男達の中心にいた男が顔を真っ赤にして睨んでくる。
が、俺はそれに構わずポケットから煙草を取り出して咥えると、ライターで火をつけた。
「忘れたっつーか、知らねぇし。だから、誰だって聞いてんじゃねぇか」
煙草を吹かしながら挑発するような目で男達を見れば、馬鹿なそいつらは簡単に挑発に乗る。
「馬鹿にしやがって……。覚えてねぇなら思い出させてやる!やっちまえ!」
男の言葉で、手下と思われる奴らは俺に殴りかかってきた。
……馬鹿な奴らだ。