雪と断罪とそして、紅
「そうだ、浅井ちゃん。あの子に凌に気に入られる方法レクチャーしてあげなよ」
「は!?」
小鳥遊君の突拍子もない提案に声が裏返った。
お陰で寿永隊長と叶花さんの視線が私へ向けられる。
「何言ってるの、小鳥遊君!?」
「だって、こんなに女の子に優しくしてる凌見たことないし。それほど、君が大事だってことでしょ?」
「それは私が出来ない補佐官だから──」
「君は自分の能力を悲観しすぎだよ」
小鳥遊君は私の頭をポンポンと撫でて、小さく笑う。
そして、プッと吹き出した。
すると、頭に感じていた撫でる手の感触が無くなった。
不思議に思って顔を上げれば、不機嫌そうな顔の寿永隊長が小鳥遊君の手を掴んでいた。
「こいつを甘やかすな、江」
「えー、甘やかしてるのは凌じゃん」
小鳥遊君の楽しそうな声に、寿永隊長の不機嫌さは増すばかりだ。
えー、何この展開!?
何かすっごい面倒なことになってない!?
ふと、背筋がぞくりとした。