雪と断罪とそして、紅


「……ご同行願えますか?」





拒否権がないような警官の言い方に、私は唇を噛み締めた。





何でこんなことに……。





すると、私の前に寿永隊長が立った。





「寿永隊長……」





「彼女がやったという証拠はあるのか?あるなら見せてもらおうか」





「あ、あります。ですが、寿永隊長と言えど部外者ですのでお見せすることは出来ません」





寿永隊長の威圧感に警官は怯む様子を一瞬だけ見せるけど、すぐに強気な目になる。





そんな彼らに寿永隊長は目を細めた。





「……寿永である俺が見せろと言っているんだが?」





寿永の一族は警察や各省庁の官僚やトップに立つことが多い。






警察や各省庁にとっては寿永は尊敬する存在であり、畏怖する存在だった。







「い、いくら言おうともお見せすることは出来ません」





それでも、警官は寿永隊長に証拠を見せることはしたかった。






このままだと寿永隊長は実力行使に本格的に乗り出してしまいそうだ。





そうなれば、寿永隊長やこの警官達の立場も危ぶまれてしまう。







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