雪と断罪とそして、紅
「──という訳だから電話切るぞ」
電話を切ろうとしたら、母さんの『待って、凌』と制止する声が聞こえて留まった。
「……何?」
『浅井さんの無実は立証出来るわ。だって、あの子、昨晩は私の所に来ていたもの』
「はぁ!?」
浅井が母さんの所に?
意味が分からん。
「何故、浅井が母さんの所に?」
『それは内緒よ。でも、私の所にいたって証拠はあるからメールで送るわ。……ちゃんとあの子を守ってあげるのよ』
「……分かってるよ」
電話を切るとパソコンにすぐに母さんからメールが届き、それには母さんに面会を申請するための書類のコピーがあり、浅井の直筆のサインと拇印が押されていた。
その書類には時間も記されているし、拇印の指紋を本人のものと照合すれば無実を証明することが出来るはずだ。
でも、念には念を……だ。
「紅斗」
「警察のパソコンハッキングして置いたよ。一応、足がつかないように一度海外のネットワーク経由でやったから」
言わなくてもやってくれているのは有難い。