雪と断罪とそして、紅


俺は紅斗のパソコンに近付くと、ディスプレイを覗き込む。





そこには警察が叶花への暴行を行う浅井を映す防犯カメラの映像と、叶花の診断書が映し出されている。





「この防犯カメラの映像さ、合成みたいなんだよね」





紅斗がカチカチとパソコンを操作すると、浅井が叶花を殴る映像が飼い犬と戯れる叶花のものへ切り替わる。





「……江」




「怪我の診断書は和泉さんに送ったよ。それで、返信待ち……っと返信来た」





紅斗は当然なから江もこう見えて機転が利くから助かる。





さすが、菖の弟だけある。






紅斗のパソコンから江のパソコンに移動すると、志摩の父親で医者である和泉さんからの返信に目を通す。






──なるほどな。





好機が見えて自然と口角が上がった。





「凌君、紅緒の無実を証明してきて」





「ああ。あの女、ぐうの音も出ないほど叩きのめしてやる……」




俺は母さんと紅斗、江と和泉さんがくれた情報を持って警察へ向かう。






浅井、待っていろ。





お前の無実は俺達が証明してやる。





だから、してもいない罪を認めるなよ──。








≪凌side end≫
< 192 / 210 >

この作品をシェア

pagetop