雪と断罪とそして、紅
「まったく、認めれば楽になるものの……。これだから犯罪者は……」
目の前の刑事は苛立ちを露にして、机を指先でとんとんと叩く。
その音は私からすれば、早く認めるように促されているようにしか感じない。
「ああ、そうか。お前は犯罪者の娘だったな。じゃあ、生まれ持っての犯罪者ってことだ」
刑事の言葉に、私は目を見開く。
「犯罪者の子供が警察になって、寿永隊長に気に入られ翔鷹入り……。あーあ、何か馬鹿馬鹿しくなるな」
「先輩、言い過ぎっすよ」
傍にいた警官が刑事を宥めると、チラリと私を見てきた。
……何で、私をそんな目で見るの?
何で怯えて、何で殺さないでという目で私を見るの?
私は人を殺したりなんかしない。
それなのに、何で──。
「お前もそう思わねぇか?俺達は国のために汗水流して働いてんのに、警察なら当たり前のことだから寿永様の目に留まることはない。それなのに、こんな小娘が……」
刑事は歯をぎりりと食い縛ると、私の前髪を掴み上げてきた。