雪と断罪とそして、紅
「それはもう尋問というより脅迫ですよ、八木沢刑事」
すると、彼の声がした。
涙が滲む視界を声がした方に向ければ、そこには寿永隊長がドアの所に寄りかかっていた。
「寿永隊長……」
名前を呼べば、彼は小さく笑ってこちらへ近付いてきた。
「脅迫ではありませんよ、寿永隊長。それに、今は尋問中。貴方と言えど、48時間を過ぎなければ面会は──」
「……俺を馬鹿にしているのか?」
寿永隊長は八木沢と呼ばれた刑事を睨み付けると、彼の顔面に持っていた書類を叩き付ける。
叩きつけたものだからスパーンと痛そうな音がした。
「お前に良いものを見せてやる。まあ、お前の頭で理解できれば良いがな」
彼に嫌味っぽく言われ、八木沢刑事は青筋を浮かべながら顔面に叩きつけられた書類に目を通し始めた。
「寿永隊長……?」
「大丈夫だ。お前に害が起きるようなものじゃない」
寿永隊長は近づいてきて私の頭を撫でると、八木沢刑事の方を見た。