雪と断罪とそして、紅
包帯の外されると痣一つない白い肌が露になる。
更に彼は彼女の頬に貼られたガーゼを剥がし、傷がないことを確認する。
「……とんだ茶番劇だな」
「し、凌君……これには……」
「理由があるって?俺の大切な奴を陥れることにどんな理由があるんだ?」
有無言わせぬ彼の言葉に、叶花さんは唇を噛み締めてうつ向いてしまった。
寿永隊長は私の手を掴むと、取調室を出ようとする。
でも、何かを思い出したのか足を止め、叶花さんの方を見た。
「……寿永を敵に回す覚悟。お前にあったかは知らないが、覚えていろ」
そう言い残して、寿永隊長は私の手を引きながら取調室を後にした。
後ろから叶花さんの泣き声が聞こえたけど私は引き返さない。
それに、今の私には彼の手を振り払えない。
それくらい私には彼の手が、彼の取り戻してくれた居場所が大切だったから──。
「寿永隊長、八木沢刑事達はどうなりますか?」
「あれだけ言われたのに他人の心配か?まあ、キツい処分を与えたいところだが、あの二人は叶花に利用されただけだ。……減給位でどうだ?」
私の手を引きながら歩く彼は私をチラリと見る。