雪と断罪とそして、紅
───────────────
──────────
──────
──
ふと、頬に冷たい何かが触れる感覚で俺は目を覚ました。
目を開けた先には白の小花模様のハンカチを持った女がいた。
突然俺が目覚めたものだから女は驚いたように、俺の頬にハンカチを当てたまま動きを止めていた。
「あんた、誰だ?」
「わ、私はただの通りすがりで黒、黒代って言います……。ひ、酷い怪我だったからほ、放っておけなくて……」
俺が怖いのか、それとも元々こういう性格なのか、その女はハンカチを俺に当てながらそう答える。
誰って聞いて自己紹介するとか、ど丁寧だな。
「そんなに怖がんなくても取って食ったりしねぇよ」
俺は女からハンカチを受け取り、体を起こした。
体を起こすときに全身がかなり痛んだが、なるべく表に出さないようする。
喧嘩に負けて傷だらけなんて情けなくて仕方ない。
すると、女はじっと俺を見てくる。
「……何だ?」
じっと見つめ返せば、女は慌てて目をそらした。