雪と断罪とそして、紅
「浅井、その意味が分かっているのか?」
寿永隊長は一瞬驚いた顔をするけど、すぐに何かを探るように問うてくる。
「分かってます」
「……もうお前は俺から離れなれないんだぞ?」
「離れる気は毛頭ありません」
私の言葉に彼は穏やかな笑みを浮かべると、私に近付いてきた。
そして、その手を私の方へ伸ばしてくる。
私は彼の傍を離れるつもりは毛頭ない。
何せ、私は──。
「私は寿永隊長の補佐官ですから!」
すると、寿永隊長は私の方に手を伸ばしてきた状態でピシリと固まった。
そう、私は寿永隊長の補佐官。
決して離れることはない。
「あれ?寿永隊長?」
ピシリと固まって動かない彼の顔を覗き込むと、左右の頬を思い切り引っ張られる。
「いひゃひゃひゃ!いひゃいれす、ひひゃにゃがたいひょう!」
本当に手加減なしに引っ張ってるから頬が痛い。