雪と断罪とそして、紅


「逆上せた俺が馬鹿だった……」





私の頬から手を離した彼はため息を吐くと、再び歩き出した。






後ろから彼の背中を見つめながら私は口角が上がるのを感じる。






実をいうと寿永隊長が私に期待していたことは理解していた。






でも、言うのが気恥ずかしくてあんなことを言ってしまった。





寿永隊長、私は貴方の傍に居続けたいです。





出来れば、補佐官としてではなく──。






愛しい人を支える一人の女として。





でも、それは今の私には贅沢すぎる。





だから、もう少しだけこのままでいたい。





私は前を歩く彼に追い付くため駆け出した。




< 204 / 210 >

この作品をシェア

pagetop