雪と断罪とそして、紅
「逆上せた俺が馬鹿だった……」
私の頬から手を離した彼はため息を吐くと、再び歩き出した。
後ろから彼の背中を見つめながら私は口角が上がるのを感じる。
実をいうと寿永隊長が私に期待していたことは理解していた。
でも、言うのが気恥ずかしくてあんなことを言ってしまった。
寿永隊長、私は貴方の傍に居続けたいです。
出来れば、補佐官としてではなく──。
愛しい人を支える一人の女として。
でも、それは今の私には贅沢すぎる。
だから、もう少しだけこのままでいたい。
私は前を歩く彼に追い付くため駆け出した。