雪と断罪とそして、紅
それからしばらくした頃。
「慎哉君!」
黒代は笑顔で手を振りながらベンチに座る俺に駆け寄ってくる。
が、その前に何もないところで盛大に転んだ。
うわ、顔面強打……。
「お、おい!大丈夫か!?」
慌てて黒代に駆け寄ると、黒代は鼻を押さえながらゆっくり体を起こした。
「だ、大丈夫……」
幸い鼻血は出ていないが、頬に土が付いている。
それを服の袖で拭ってやると、黒代は「ありがとー」とふにゃりと子供のように笑った。
う……、抱き締めてぇ……。
変態親父のように指をワキワキさせながら、黒代を抱き締めたい衝動を押さえる。
「どうしたの?」
「な、何でもねぇよ!」
ワキワキさせていた手を体の後ろに隠すと、黒代は不思議そうに頭を傾げる。
だから、素でそんなことすんなっつーの……天然か?
助けてもらったことをきっかけに、俺は黒代と週一のペースで公園で会っていた。
何でだか、黒代といると穏やかな気持ちになれた。
居心地も良い。
多分、俺は──。