雪と断罪とそして、紅



「なぁ、黒代」




「何?」





「俺、お前が好きみたいだ。こんな俺だけど、付き合ってもらえねぇかな?」





会って1ヶ月も経っていない。





でも、俺は黒代が好きだ。




好きになるのに、期間は関係ないはずだ。






「……私、ずっと好きな人がいるの」




黒代はうつ向きながらポツリと言った。





あ、俺、フラれた……?




頭を思い切り殴られたような衝撃があったが、話を続ける黒代の声に耳を傾ける。





「その人のことはたまにこの公園で見かけてて……。よく野良猫に餌をやってるみたいだった」




「……それで?」





「……よく喧嘩してるのか、いつも絆創膏が頬とか手に貼られてた。柄が悪くて、怖い感じなのに不思議と怖くなかった」





黒代の言葉が俺に疑問を抱かせる。





喧嘩ばかりして、野良猫に餌をやってる柄が悪い男……?





それって……。





黒代はうつ向いた顔を上げて、まっすぐ俺を見てくる。





「その人は今、私の目の前にいる」




疑問が確信に変わって、気付いたら俺は黒代のその言葉を紡いでいた小さな口を自分のそれを重ねていた。









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