雪と断罪とそして、紅


見た目でも柔らかそうに見えていた唇は本当に柔らかくて……。




俺は貪るようにその唇に吸い付き、離さなかった。




だから、俺がその唇を堪能して満足した頃には黒代は酸欠になっていた。





「わ、悪い……。黒代が俺のことが好きだって分かったら押さえられなくなっちまって……」




酸欠でフラフラになる黒代に胸を貸しながら謝ると、黒代はぎゅっと背中に手を回してきた。




「大丈夫……。私も貴方が同じ気持ちだって分かったら嬉しくて……」





そして、顔を上げると背伸びをして俺の唇に柔らかいそれを重ねてきた。




また感じたその柔らかさを、俺は更に感じたくて深く重ねる。





俺はクズみたいな人間だけど、そんな俺でも好きになってくれた人がいた。





その人は俺には勿体ないくらい優しくて、穏やかな人だった。





黒代、俺みたいな奴を好きになってくれてありがとう。





黒代……、俺はお前を誰よりも守りたい。





どんなものからも絶対守り抜く。





そう思っていたのに、俺は黒代を守れなかった……。








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