雪と断罪とそして、紅
黒代が死んだ。
自ら命を絶つ決断を迫られるまで黒代は追い詰められていた。
それに俺は気づけなかった。
誰よりも守りたいと思っていた恋人を俺は守れなかった。
何で……俺は黒代の抱えているものに気づけなかった?
何で──。
「は?てめぇ、今何て言いやがった?」
俺は目の前にいる男の言葉に、感情が抜けるような感覚に陥った。
男は前に喧嘩した俺が覚えていないと言ったら、逆上してきた奴だ。
「てめぇの女、良い抱き心地だったって言ったんだよ」
俺の女?
良い抱き心地?
まさか、こいつ、黒代を──。
「終止てめぇの名前を呼んでたのが逆に燃えてな。てめぇの女を犯してるんだってな!」
こいつが黒代を追い詰めた?
こいつが黒代を死に追いやった?
こいつが黒代を──。
次の瞬間、俺は男を思い切り殴り飛ばした。