雪と断罪とそして、紅
──黛。
その名前を名乗っていれば、お前が傍にいる気がした。
お前が傍にいないのは分かっているのに、いると思っていたかった。
なぁ、黒代。
俺はお前が思っていたよりも優しい男じゃなかった。
平気で人を何人も……何10人も殺した最低な男だ。
そんな俺でもお前は俺を優しい人と言ってくれるか?
好きだと言ってくれるか?
愛してると言ってくれるか?
なぁ、黒代……。
俺はお前を──。
『慎哉君』
……んだよ、お前、そんなところにいたのかよ。
死んだって感じがしねぇと思ってたのに……。
まあ、お前に会えたし、良いか……。