雪と断罪とそして、紅
「お前達は天使だ。外に出れば、周りに嫉妬されて今日みたいなことになる。外は悪魔だらけだ。だから、お前達は中にいるんだ」
パパはアンジェラの髪を優しくすくと、穏やかに笑った。
いつもならほっとするその笑顔も今日は狂気を感じる。
こんなのおかしい……。
こんな家に縛りつけるようなやり方──。
「大丈夫よ、三人とも。貴方達のことはパパとママが守るわ。だって、貴方達は私達だけの天使だもの」
ママは私とアンジェリアの手を優しく握った。
親が子を守るのは当たり前だ。
でも、パパとママが言っている≪守る≫は言い過ぎた愛情から来る偏愛。
私達を外の世界から遮断して、中に閉じ込める。
それはまるで、籠の中の鳥のようだ。
……ねぇ、パパ。ママ。
私達は天使なんかじゃないよ。
人の不幸を喜んで笑ってる悪魔なんだよ。
だから、外に出して──。