雪と断罪とそして、紅
「真っ昼間からお盛んなことで」
私はノックもせずに書斎のドアを開けると、妾の女はばつが悪そうな顔をする。
妾の女は私の予想通り椅子のお父様の膝の上に座り、お父様に口付けようとしていた。
「へ、部屋に入るときくらいノックしなさいよ!」
顔を真っ赤にして訴えてくる妾の女を私は嘲笑うかのように鼻で笑った。
「夢中になっていて聞こえたかっただけでは?それか、ちゃんと部屋に鍵をかけて声を潜めてはいかがですか?」
「その方が燃えるのでは?」と付け加えると、妾の女はお父様の膝から降りて私を睨み付けると書斎から出ていった。
「……あぁ、良いところだったのに」
お父様は残念そうに呟く。
この女好きが……。
「娘を呼んでおいて、妾をその娘の前で抱こうとする男が父親だと思うと残念ですよ」
嫌味を込めて言うが、お父様は気にしていない様子で私に近付いてくる。
そして、さっきまで妾の女に触れていた手で私に触れた。
「私は名家の血を引く者だ。妾を持とうと誰も咎められない」
名家ねぇ……。