雪と断罪とそして、紅



「あっはははは!その顔、何故遊女屋なんかに私が?って顔だな」





突然の瀧澤の豹変ぶりに私は更に混乱する。






「此処の遊女屋は法外で彼が経営している所だ。あんたは俺がこの店に売ったんだ」





「何故……」





「何故?俺があんたら親子を恨んでいたからだ」





瀧澤が私とお父様を恨んでた?






「あんたは何にも知らないだろうから教えてやる。俺の本名は龍澤聖(タツザワ ミズキ)」





龍澤……?





龍澤って確かお母様の──。





「俺の母親の名前は龍澤長閑……またの名前を邉巳長閑。俺とあんたは異父兄妹だ」





衝撃的な事実に私は言葉を失う。




私と瀧澤が異父兄妹?





あ……、そうだ。思い出した。





瀧澤が誰かに似ている気がしていた人……、それはお母様だったんだ。





「……母さんはあんたの父親に無理矢理父さんと離婚させられて、無理矢理結婚させられた。あんたの父親に脅されてたんだ、『私と結婚しなければ、家族がどうなっても良いのか』ってな」





衝撃的なことで頭が働かない私に構わず、瀧澤は言葉を続ける。






「憎かったよ、あんたら父娘が。俺の幸せを奪ったんだからな。だから、復讐してやろうと使用人として入って、内部からあの男の信用を壊してやった」





壊してやったってまさか、会社が経営破綻したのって瀧澤のせい?







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