雪と断罪とそして、紅
「瀧澤……、お前は……」
怒りと悲しみ、憎しみで声が震える。
瀧澤もこんな気持ちだったんだ。
お父様が瀧澤の幸せを奪ったのかもしれない。
でも、人の幸せを奪ったからと更にその人から幸せを奪うのはあって良いことなのだろうか?
「そうそう。あんた、俺に惚れてたみたいだけど俺は絶対あんたを好きになら無いから。むしろ、好かれてると思うと鳥肌が立つし、同じ血が流れているかと思うと吐き気がする」
虫けらを見るような目で私を見ると、瀧澤は楽しそうに笑いながらドアの方へ歩いていく。
「では、頑張って体を売ってお父様の借金を返してくださいね、楊お嬢様」
嘲笑うかのように笑みを浮かべると瀧澤は耳障りな笑い声を上げて、部屋を出ていった。
もう訳が分からない。
もうどうにでもなってしまえば良い。
どんな風になっても私は時代遅れの遊女屋に売られ、体を売らなくてはならない。
「何故、私はあんな奴を……」
何故、私はあんなゲスな奴を好きになってしまったんだろう?
憎しみを懐く相手に何故、あんなにも親切に出来たのだろう?
……私には無理だ。