雪と断罪とそして、紅
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「初めまして。楊蘭と申します」
私は部屋に入るとその場で三ツ指ついてを頭を下げる。
楊蘭──それは私の新しい名前。
その名前を付けた理由なんて無いけど、響きが良かったから付けた。
顔を上げた先には私の憎むあの男──瀧澤が何かを見ながら座っている。
「随分と遊女が身についたな。水が合ったのか?」
瀧澤は下衆な笑いを浮かべながら私を手招きする。
近付けば手を引かれ、顎を掴まれた。
「……どうだ、好きでもない男に抱かれるのは?気持ち悪いだろう?」
「…………………」
「でも、今夜は違う。俺がお前が買ってやった。喜べ、好きな奴に抱かれるんだぞ」
楽しそうに笑う瀧澤に、私は自ら唇を重ねる。
恋人同士でもないのに体を寄せ合い、蕩けるような口付けを交わす。
──が、急にその寄せ合っていた体は瀧澤の腕により引き離される。
その直後、瀧澤は苦しそうに喉を押さえると吐血した。
口から吐かれた血が私の顔や服に飛んだ。