雪と断罪とそして、紅
「あ、きつねさん!」
息を飲んでいると、アリスちゃんの小さな手が私を指差す。
「え、私……?」
突然指を差されたものだから驚いていると、三月様に肩を軽く押された。
「……うちの可愛いお姫様に≪それ≫を触らせてもらっていいかな?」
いつもピリピリして、研究第一の彼女も可愛い愛娘には甘いらしく、母親らしい優しい顔をしていた。
そんな彼女のお願いを断れるもなく、私はアリスちゃんに近づいて耳を触らせる。
「もふもふー!もっふー!」
小さな指でもふもふと触られると何ともむず痒かったが、その小さな手の温もりは心地好かった。
ヒカリとやらに抱かれたその子は目をキラキラさせながら何度も耳を触ってくる。
「あ!此処にいた!」
「アリス、切碕!探したぞ」
すると、今度は私とほぼ同時期に産み出された羽取と佐滝が慌てたように走ってきた。
「才暉に一飛!もっふもふーなのー」
私の耳を触りながら、アリスちゃんは彼らの方を見た。