雪と断罪とそして、紅
「もっふもふ……?あぁ、彼の耳のことね」
「気持ち良さそうだな。俺も触りてぇ」
「止めてください」
私が即答で返すと羽取はブーブーと言ってくるが、無視した。
「それより、僕とアリスちゃんに何の用?」
ヒカリこと、切碕君は私の耳を触り続けているアリスちゃんを抱き直すと二人を見た。
「何の用ってお前なぁ!かくれんぼしてていきなり居なくなっておいて何言ってんだよ!?」
羽取が柄の悪い目付きで赤目の彼を睨むと、彼は思い出したような顔をする。
「そうだったね、忘れてたよ」
「忘れてた!?」
「それに、僕はアリスちゃんが三月様達に会いたいっていうから連れてきただけだし」
屁理屈を言う彼に羽取は何か反論しようとしたみたいだが、佐滝に止められて止める。
「才暉、一飛。あの子の様子はどうだ?」
すると、智さんが二人に近付くととある人物のことを尋ねる。
「あの子?ああ、風魔の?うーん、相変わらず部屋の角で踞ってるよ」
佐滝の言葉に、智さんは「そうか……」と悲しそうに眉を下げた。
此処にいる作られた人間には昔の忍のDNAから作られた人間もいる。
羽取が伊賀の忍、佐滝が甲賀の忍、そして、まだ名前のない風魔の忍。