雪と断罪とそして、紅
「そう……。一人で辛かったね……」
彼は自分のことのように悲しい顔をすると、あたしの頭を撫でてくれる。
頭を撫でられたことなんか無い。
だから、頭を撫でられることがこんなに暖かいなんて知らなかった。
「顔の造形なんか人それぞれ。他人がどう言おうと紀生ちゃんは可愛い。気にしなくて大丈夫だよ」
彼は優しい笑顔を浮かべていた。
胸が暖かかった。
会って間もないのに、あたしは優しい彼に恋に落ちた。
「あの……あたしに貴方のことを教えてくれませんか……?」
あたしの言葉に、彼は一瞬驚いたような顔をした。
でも、彼は──。
「僕も紀生ちゃんを知りたい……」
そう言って、あたしを抱き締めた。
それからあたしと彼の距離が近くなるのに時間はかからなかった。
そして、彼と出会ってから半年が経った頃。
あたしは彼との間に子供が出来た──。