雪と断罪とそして、紅
「それは貴方も言えることでしょう?」
「?」
「藤邦の一人娘のお守り役をさせられるなんて信頼されてないと出来ませんよ」
私の言葉に、切碕さんは喉の奥で楽しそうに笑った。
「ククク……、いつの話を言っているの?今はね──」
「和真ーっ!」
ふと、研究所内の庭から女の子の怒鳴り声が聞こえた。
声がした方を見れば、そこには年頃となったアリスちゃんと見知らぬ少年がいた。
いや、アリス様と言うべきか……。
彼女の面影は幼い頃のものしか知らないが、年頃となった彼女はやはり綺麗な少女となっていた。
「和真!あんた、いい加減に──」
「そんなに怒らないでよ、アリス。せっかくの可愛い顔が台無しだよ」
怒りを露にする彼女を嗜めるように少年が言うと、アリス様は顔を真っ赤にした。
彼は一体……。
「彼は志岐和真(シキ カズサ)、アリスちゃんの婚約者だよ」
疑問符を浮かべる私にはそう教えてくれたのは赤目の彼だった。