雪と断罪とそして、紅


──何もかも順調だった。





三名家の当主達を呪い殺し、これから家を継ぐ者や生まれてくる者を呪った。





寿永は次期当主とその子を呪い、蓬條は次期当主の妻とその子を呪い、藤邦は次期当主の子を呪った。





藤邦は次期当主──アリス様を呪わなかったのはあの方が愛した方だったからだ。





あの方はそれを望んでいないはずだから。





あの方の復活のために女共を殺したし、あの方が遺した子供も姿と名を偽ってまで大切に育てた。





それなのに、何故貴方様は──。





「僕を蘇らせてくれた君には感謝しているよ、明晴。でも、僕の復活に仲間の命を犠牲にするのは頂けないな」





何故貴方様は私を殺したのですか?






私は全てを貴方様に捧げ、尽くした。





私は全て貴方様の復活の為に行ってきた。






そんな私を何故貴方様は──。






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