雪と断罪とそして、紅
……そうか、彼が間違っているんじゃない。
私が間違えていたんだ。
彼を神と崇め讃え、崇拝していたことが間違いだったんだ。
何故、私は貴方にそれまで心酔してしまったのだろう?
でも、気付いたところで私は死んだ。
何とも馬鹿で自分でも呆れるような人生だったが、生まれてきて良かったと思える。
私が安倍晴明として生まれなければ、この人生は味わえなかった。
──紅緒。
私はお前を育てたのは単に切碕様の子供だったからだった。
でも、今ならそれは違うと言える。
紅緒。
私は……俺はお前を愛していた。
切碕様の子としてではなく、本当の子のように──。