雪と断罪とそして、紅
「燃えちゃった……」
燃えてしまった服を見ながら僕はため息を吐く。
折角、買い揃えたのに……。
父さんは跡継ぎの僕がこんな風なのが嫌なんだ。
僕の家は日本とも交流のある国の企業の一つを経営している。
社長である父さんとその妻である母さんとの間には五人の子供がいて、僕の上には四人の姉がいる。
つまり、僕は五人目に出来た待望の跡継ぎだった。
でも、ようやく生まれた跡継ぎの僕がこんなだから父さんは恥ずかしいらしい。
だから、僕は男らしくあるように強制してくる。
男らしい言葉遣いに歩き方、思考や行動を無理矢理教え込まれた。
それは僕にとって苦痛でしかなかった。
そんな僕だけど、父さんに強制されずに行っていることがある。
それは──。