雪と断罪とそして、紅
「きゃあぁ!ちょっと虫!虫がぁあ!」
キッチンから聞こえる母さんの悲鳴に、僕はキッチンへ向かう。
キッチンのまな板には白菜が置かれていて、それには小さな芋虫がいた。
「なんだ、小さいじゃない」
僕は逃げ惑う母さんを横目に、その白菜に付いた芋虫を手に取る。
手の上で小さな体を伸ばしたり、縮めたりする芋虫が可愛らしく思える。
「は、早くそれを何処かに持っていって!」
「はいはーい」
芋虫を手に乗せて、僕はキッチンから自分の部屋に向かった。
部屋に入ってすぐに目に入ったのは昆虫のオブジェや昆虫の入った虫籠。
女の子が好きなのものが好きな僕だけど、虫が大好きだった。
理由は分からないけど、皆が気持ち悪いと拒む虫でさえも可愛らしく感じた。
「ほーら、仲間だよー」
部屋に入って虫籠に近付くと、その芋虫と同じ芋虫がいる虫籠に入れる。
虫籠に入れられた予め入れておいた野菜を見つけたのか、その野菜を一心不乱に食べ進める。