雪と断罪とそして、紅
「大きくなってねー」
多分この子達は蝶になるはずだ。
これからサナギになって、羽化すれば美しい蝶になる。
……僕もそうなれれば良いのに。
父さんが強要する男らしい全てを取り払って、女の子になれたらどれだけ幸せか分からない。
髪を伸ばして、メイクして、スカートを穿いて、パンプスを穿いて……。
好きな格好をした僕は誰よりも輝けるはずだ。
──コンコン。
すると、ドアをノックする音がした。
返事をすれば、一番上の姉がドアを開けて部屋に入ってきた。
「どうしたの、姉さん?」
「これ、あげるわ」
姉さんが差し出してきたものに僕は子供のように目を輝かせる。
姉さんが僕に差し出してきたのは淡い黄色のスカートだった。
「どうしたの、これ!?」
「貴方に合うと思って買ってきたの」
そう言って姉は優しそうな笑みを浮かべた。