Flower love
「……あれ?」
あたしは苦笑しながら店の様子を見つめる。
一瞬、時間が止まったような気がした。
「もう少し早めの時間に戻った方が良かったかもね」
と、あたしを送ってくれたフィルシアがあたしに耳打ちする。
「あれ? じゃねぇよこの馬鹿がっ!」
レオがやって来てあたしの頭を殴った。
「いったぁい!」
あたしは半ば涙声で呻く。
「リンちゃん、どこに行ってたのよ!」
レジの方には死体を持った懐かしい人がいた。
「メリア先生、帰ってらしたんですかっ!?」
「質問の答えになってないっ!」
メリアの怒声が響く。
レジの方にいても迫力十分だ。
うぅ、高校時代を思い出してしまう。
「ごめんなさい」
すると、隣にいたフィルシアが急に頭を下げた。
あたしは驚いたようにフィルシアを見つめる。
「あたしと一緒にハウワイまで旅行してたんです。ちょっと、半ば強引だったから皆さん心配しましたよね。本当に、すいません」
「あなたは?」
メリアは目を丸くしてフィルシアを見つめる。
「リンちゃんのお友達です。それじゃ、そろそろ失礼しますね。またね、リンちゃん」
フィルシアは花屋を出て行こうとする。と、
「こら、待てっ! 僕はまだ納得してないぞぉっ!」
ロアさんが生き返った。
キスのことをまだ根に持っているのだろう。
が、フィルシアは無視して花屋を後にした。