Flower love
「え、どこですか!?」
『さっき、届いた手紙に書いてあった。「娘を解放してほしければ、一千万を持って三番地の廃工場に明日の夜中一時までに来い。過去に戻って娘を救おうとしても無駄だ。その時間帯にだけ全タイムマシーン共通のバリアが張ってある。警察を呼べば、娘はただでは済まない」と』
レオとロアは目を見開いた。
「一千万……ですか」
「……三番地の廃工場って、かなりの老朽化が進んでるらしい。あれは、いつ崩れてもおかしくないよ。すみません、僕がちゃんと付いていれば……」
ロアは顔をしかめた。
いつ崩れてもおかしくはないということは、リンも危ないということだ。
『いや、君に非はないよ。こちらこそすまない。君たちに迷惑はかけないつもりだ』
「そんな、だったらどうやってリンを助けるんですか! ロウンさん一人じゃとても……」
『……俺が、あともう少し若かったら……どうだっただろうな?』
ロウンはじっとレオを見つめた。
レオは目を見開く。
確かに、それでリンは助かるかも知れない。
けれど……そんなことしたら……。
『頼む』
ロウンの瞳は何の迷いもなかった。
真っ直ぐとレオを見つめている。
「……分かりました。その代わり、俺も応戦させていただきます」
『いや、それは……』
「なんだかよく分かりませんが、喧嘩なら僕の得意分野なんで僕も応戦させていただきます」
ロアはにこりと笑ってこう言う。
その笑顔がとてつもなく怖い。
『君たちね……これは遊びじゃないんだから……』
「分かってますよ。だからこそ、です」
ロウンは面食らったような表情を浮かべ、呆れたようにため息をつく。
『……銃とか、武器を持ってるようなら直ぐに退散すること』
「「はい」」
レオはゆっくりと電話の回線を切った。
「ロアさん、これから言うことはリンには言わないで下さい」
「……知ってるよ」