Flower love

「え、どこですか!?」

『さっき、届いた手紙に書いてあった。「娘を解放してほしければ、一千万を持って三番地の廃工場に明日の夜中一時までに来い。過去に戻って娘を救おうとしても無駄だ。その時間帯にだけ全タイムマシーン共通のバリアが張ってある。警察を呼べば、娘はただでは済まない」と』

レオとロアは目を見開いた。

「一千万……ですか」

「……三番地の廃工場って、かなりの老朽化が進んでるらしい。あれは、いつ崩れてもおかしくないよ。すみません、僕がちゃんと付いていれば……」

ロアは顔をしかめた。

いつ崩れてもおかしくはないということは、リンも危ないということだ。

『いや、君に非はないよ。こちらこそすまない。君たちに迷惑はかけないつもりだ』

「そんな、だったらどうやってリンを助けるんですか! ロウンさん一人じゃとても……」

『……俺が、あともう少し若かったら……どうだっただろうな?』

ロウンはじっとレオを見つめた。

レオは目を見開く。

確かに、それでリンは助かるかも知れない。

けれど……そんなことしたら……。

『頼む』

ロウンの瞳は何の迷いもなかった。

真っ直ぐとレオを見つめている。

「……分かりました。その代わり、俺も応戦させていただきます」

『いや、それは……』

「なんだかよく分かりませんが、喧嘩なら僕の得意分野なんで僕も応戦させていただきます」

ロアはにこりと笑ってこう言う。

その笑顔がとてつもなく怖い。

『君たちね……これは遊びじゃないんだから……』

「分かってますよ。だからこそ、です」

ロウンは面食らったような表情を浮かべ、呆れたようにため息をつく。

『……銃とか、武器を持ってるようなら直ぐに退散すること』

「「はい」」

レオはゆっくりと電話の回線を切った。

「ロアさん、これから言うことはリンには言わないで下さい」

「……知ってるよ」
< 145 / 208 >

この作品をシェア

pagetop