Flower love
「……へ?」
レオはぽかんと口を開けたままロアを見つめた。
「だから、知ってる。リンちゃんが惚れてる相手が誰なのか」
「な、何でっ!? ロアさん……誰から?」
レオは混乱状態に陥っていた。
ロアは呆れたようにため息をつき、
「日に日に弱っていくリンちゃんの様子とか見れば分かるさ。それに、僕の身近な所にリンちゃんと同じように苦しんでる子がいるからね」
「え……?」
「ほら、早くタイムマシーンに乗れ! 貴様は何のために、俺と彼女の時間をぶっ壊したんだ」
ロアが微妙にマヂギレをしているのを見て、レオは苦笑を浮かべた。
そして二人はタイムマシーンに乗って、過去へと飛ぶ。
「一つ訊いてもいい?」
と、ロアは運転しながら助手席に座るレオに問いかける。
「何ですか?」
「リンちゃんをを傷つけたのは君だよね」
ロアの口調がきつくなる。
「はい……」
レオは正直に頷いた。
「ああするしかなかったんです。あいつを救うには……」
「レオが自分と恋人との仲を引き裂いたってリンちゃんが知ったら、どう思うだろうね?」
「俺はあいつに嫌われたって構いません」
レオがきっぱりこう言うと、ロアはヒューと口笛を吹いた。
「泣かすねぇ。僕もレオならああするしかなかっただろう。好きな子が日に日に弱っていく姿なんて、見たくないからね。しまいにはこの世に存在しなかったことになっちまうなんて、そんな辛いこと受け入れられないよ。……まぁ、存在しなかったことになる訳だから記憶は全てなかったことになるんだけどね」
「辛いことが分からないなんて、それこそ辛いの他の何でもないでしょう」
「客観的に見るとね。さて、着いた」
ロアはタイムマシーンを止めた。
目の前には見知った古いアパートが建っている。
「行きましょう」
気は進まなかったが、レオとロアはタイムマシーンを降りてラウルの部屋へと向かった。