Flower love
意を決してレオはラウルの家のチャイムを鳴らす。
「……はい」
と、やや低めにしたラウルの声が、インターホンから聞こえてきた。
「リンとバイトが一緒のレオ……」
「と、店長のロアです!」
ロアはレオの台詞を中断して割り込む。
すると、家からラウルが顔を出した。
「リンに何かあったんですか」
「ええ、なきゃ来ませんよ」
レオの表情は笑顔だが、声のトーンはやや低い。
ロアは苦笑しながら、
「リンちゃんがさらわれたんだ。多分金目当てだろう。リンちゃんの家に脅迫状まで届いてね。僕たちだけじゃどうにも出来ないから、君にも手伝ってもらいたくて」
ラウルの表情は暗かった。
黙って、ロアの話を聞いている。
「あんたが行きたくない気持ちは分かる。俺だって本当は……うっ」
レオの台詞を殴って中断したのは言うまでもなくロアだ。
「お前の気持ちなんかどうでもいい。とにかく! 君に来ていただきたいんだ。嫌だなんて言わないよな?」
笑顔で脅しているロアは物凄く恐ろしかった。