Flower love
「勿論、俺も行きたい。だけど、今のリンは俺を必要としてるのか……」
「あんたと別れてからのリンを見りゃ一目瞭然だ。ぼぉっとしてろくに人の話も聞かないし、毎日毎日ため息の連続だし、おまけに死んだような目してんだぞ」
「あんな形でリンちゃんと別れて、君も同じ気持ちだろう?」
ラウルは下唇を噛み締めて俯いていた。
「頼む! あんたが必要なんだ。あんなリン、見たくねぇんだよ。無理して笑うリンなんか、見たくねぇんだ。あいつは強がりだから、どんな悩みがあっても周りに心配かけさせないように苦しくてもどんなに寂しくてもずっと笑って……俺はそんなあいつに、何もしてやれない。あんたじゃなきゃ駄目なんだよ!」
ラウルは顔を上げてレオを見つめた。
なんの迷いも無く、真っ直ぐとラウルを見つめている。
そんな必死な様子を見て、ラウルはふっと笑った。
「……分かったよ」
□■□■□■
「ここだ」
2121年に戻り、工場の前にロアの車を止めた。
石と縄が詰まったバッグをラウルが持ち、車から出る。
「多分、犯人は複数いるよ」
ロアは珍しく真剣にこう言う。
「何でそう思うんですか?」
ラウルは不思議そうにロアを見つめた。
「リンちゃんのお父さんが言ってたんだ。奴らがリンちゃんをさらったときの時間に、全タイムマシーン共通のバリアが張ってあるって。一人の奴がそれを操りながら、リンちゃんをさらうなんてことでできないと思うな」
なるほど、とラウルは頷く。
「リンのお父さんは来ないんですか」
「……来たくても、来れないんじゃないかな」
「どういうことですか?」
「そのうち分かるだろ」
と、レオは俯きながら答えた。
そんなことを話しながら、工場の中に入って行く。