Flower love
「お邪魔しまーす」
ロアは明るい口調でこう言う。
この状況でこの口調は場違いじゃないかと、レオは思った。
「お前たちは誰だ!」
犯人らしき人物二人が一斉にロアたちの方を向く。
一人は銃を持ち、もう一人はパソコン画面の前に座っていた。
「その子の保護者代理人です。金はここに入ってる。早くリンちゃんを放してください」
ロアは笑顔で、石と縄が詰まったバッグを指差してこう言った。
銃を構える男の後ろには、椅子に縛られ気絶したリンがいる。
だが、少し様子がおかしかった。
遠くから見ても顔色が悪いことが分かるのだ。
「……おい、お前ら……本当にリンに何もしてないんだろうな」
レオは物凄く低い声で問う。
よく見れば、少し男たちの方も焦っているようだった。
「……まさか、ずっと目覚めてないんじゃ……」
ラウルの問いに口を紡ぐ男二人。
三人は目を見開いた。
「リンに何したんだっ!!」
ラウルは大声で怒鳴る。
「う、うるさいっ! 早く金を渡せ!」
男の銃を持つ手が小刻みに震えていた。
まさか……まさか……。
ロアは舌打ちする。
焦っているようだった。
このままでは、本当にリンが死んでしまう。