Flower love

「お邪魔しまーす」

ロアは明るい口調でこう言う。

この状況でこの口調は場違いじゃないかと、レオは思った。

「お前たちは誰だ!」

犯人らしき人物二人が一斉にロアたちの方を向く。

一人は銃を持ち、もう一人はパソコン画面の前に座っていた。

「その子の保護者代理人です。金はここに入ってる。早くリンちゃんを放してください」

ロアは笑顔で、石と縄が詰まったバッグを指差してこう言った。

銃を構える男の後ろには、椅子に縛られ気絶したリンがいる。

だが、少し様子がおかしかった。

遠くから見ても顔色が悪いことが分かるのだ。

「……おい、お前ら……本当にリンに何もしてないんだろうな」

レオは物凄く低い声で問う。

よく見れば、少し男たちの方も焦っているようだった。

「……まさか、ずっと目覚めてないんじゃ……」

ラウルの問いに口を紡ぐ男二人。

三人は目を見開いた。

「リンに何したんだっ!!」

ラウルは大声で怒鳴る。

「う、うるさいっ! 早く金を渡せ!」

男の銃を持つ手が小刻みに震えていた。

まさか……まさか……。

ロアは舌打ちする。

焦っているようだった。

このままでは、本当にリンが死んでしまう。
< 156 / 208 >

この作品をシェア

pagetop