Flower love
ロウンはパトカーから降りて、工場に入ろうとした。
が、工場の裏の駐車場に懐かしい人影を見つけて思わず息を呑む。
その女性はじっとロウンを見つめていた。
「……ルーシー……」
ロウンは目を見開き、呟くようにもう何十年も呼んでいなかったその女性の名を呼んだ。
ルーシーはぎこちなく微笑む。
ロウンはルーシーの所まで駆けて、思いっきり抱きしめた。
「……ルーシー」
「ごめんなさい。あたし……どうしても……未来のあなたに会いたくて……」
ロウンは涙を流すルーシーの唇に自分の唇を重ねた。
「……ロウン」
「……リリーンは、いい子に育っただろう?」
「ええ」
ルーシーは涙ながらに頷いた。
「ありがとう……本当に、ありがとう」
「……ルーシー……もうここには来るな。お前は、お前の時間を生きろ」
ルーシーはにっこりと笑って頷く。
「あたし……ずっと愛してるから。過去のあなたも、未来のあなたも。ずっと……ずっと愛しるからっ……」
「……俺も愛してる……ずっと愛してるよ」
二人は最後の口付けを交わし、それぞれ振り返らずに別れて行った。