Flower love
輪は見事に吸い込まれるように、全て棒に入った。
そして、また景品が増える。
「次、どこにする?」
空はもう真っ暗になっていたけれど、辺りは提灯の明かりに照らされて昼のように明るかった。
そしてあたしとラウルの両手には、ヨーヨーや景品などでいっぱいだった。
「あ、金魚すくいは?」
「いいよ、行こう」
と、あたしたちは人込みを避けて金魚すくいの屋台に向かう。
「ラウル、一回やってみて」
「ああ」
ラウルは屈んで網を構えた。
あたしはその隣に網を持って屈む。
ラウルは早速一匹捕まえていた。
「ほんと、ラウルってうまいよねぇ」
「まぁな」
こう話している間にも、ラウルはダブルで金魚をすくっている。
あたしはただそれを感心しながら見ていた。
「リンもやれよ」
ラウルは横目であたしを見つめる。
「あ、そうだね!」
あたしは苦笑しながら網を水の中に入れ、金魚の下に移動させた。
金魚を器に入れようとした瞬間、
「わっ」
金魚は紙を破って器に落ちた。
「早いな。もう破れたのか」
ラウルあたしを馬鹿にするように嗤った。
「いいもん、一匹獲れたから」
あたしはふんとラウルから顔を背ける。
このとき、ラウルの紙は既に破れていた。
が、器の中には出目金魚や大きな金魚など、さまざまな種類の金魚がところ狭しと泳いでいる。
「オジサン、袋、二つに分けて」
「はいはーい」
オジサンは快く、ラウルがすくった金魚を二つに分けて入れていた。
そして、その袋の一つをラウルはあたしに差し出す。
「一匹じゃ寂しいから」
あたしはむくれながらも、
「ありがとう」
と、金魚の袋を受け取った。