Mermaid ~人魚姫の物語~
お城へ戻った私たちを待ち構えていたのはお父様だった。
「マリナ、また海の上へ行っていたな」
「ごめんなさい!」
「危険だと何回言ったらわかるんだ!法律でも禁じられているのを知っているだろ?」
そう、この国には海の上へは行ってはいけないという法律がある。
昔、人間と人魚は共存していた。
しかし人魚は人を海へと引きずり込むという噂がたち、多くの人魚たちが殺されたのだという。
「大切なお前に何かあったらと思うと私は心配なのだよ」
「私はもう子供じゃないのよ!もっと自由になりたいの!」
「わがままを言うな!お前は決してこの国から出てはならない!わかったな!」
「っ...」
本当はわかっている。
お父様は私を愛してくれているからこそ、こうやった怒ってくれる。
けれどそれがとても苦しい。
「私の人生なんだから私の好きにさせて!」
そう言って私はお城を飛び出した。