ありふれた恋。
耳から入る会話をシャットダウンして、私は二人とは違う方向へ歩き出す。
いつまでも陽介と同じ道を、歩けるとは思っていないけれど。離れた道を歩くことになるのは、きっとそう遠くない気がした。
彼女が陽介の好みのタイプかどうかなんて、私には分からないけれど。
素敵な人だった。
清楚という言葉は彼女のためにあるんじゃないかと思う程、可愛らしい雰囲気を漂わせていて。
長い艶の良い髪も、モデルのような長い足も、
私にないものを沢山、もっているのだろう。
明るい茶色の髪を今風にカットして、高身長で男らしくガッチリとした陽介に似合う女性。
この恋は、もう幕を下ろした方が良いのかもしれない。傷付く前に終わらせた方が良いという警告音が鳴り響く。
臆病な私は、前に進むことも、退くこともできない半端者で、様々なことから目を逸らして逃げてきた。
でも、もう。
サヨナラしか道が残されてないなら、
出来る限り綺麗に離れよう。
アイツと出会わなければ良かった、
そう陽介に思われないためにも、
笑顔で別れの言葉を告げよう。