ありふれた恋。

陽介と出逢ったのは、ちょうど一年前。


運命なんて呼べる出逢いではなく、最悪な出逢いだった。

祐太郎を含めた数人の男子と繁華街を歩いていた時、いかにもガラの悪そうな奴らと擦れ違った。


喧嘩を吹っ掛けたのがどちらだったのか忘れてしまったが、祐太郎たちは殴られ、そして殴り返していた。



また喧嘩してる、
さほど驚きもせず、のんきに見物していた私の身にその時なにが起きたのかは思い出したくない。



ただ引きずられるようにして、路地に連れて行かれた。

見知らぬ男に触れられ、吐き気を覚え、
そしてキスされた。

荒々しい口づけ。


祐太郎に助けを求めることも、叫ぶ気力も、
なにもかも失われていた。



どうにでもなってしまえ、

そう本気で思った。



たまたま通りかかった陽介に助けられなければ、私の心は間違いなく壊れていたと思う。

明るい茶色の髪と、耳にあけたピアス。
革ジャンを着た陽介も怖い顔をしていて不良のように見えたけど、
私を安心させるように笑ってくれた。


初めて会った時から、
陽介は私のヒーローだった。

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